メインスポンサーとして
第1回の女子U-18カップ戦をサポートする
XF(エグゼフ)」早川利澄社長の思い

 

[取材協力]
XF(エグゼフ) 早川利澄社長
取材・文=木之下潤

 

25年間続く「めぬまカップ」から感じた文化の大切さ

 

――「XF(エグゼフ)」は、2018年3月に新しく立ち上げられたサッカーブランドだとうかがいました。まだ日が浅いなか、「第1回 日本クラブユース女子サッカー大会U-18」のスポンサーをしようと思われた理由は何だったのでしょうか?

早川社長

「弊社は、2007年にバスケットボールウエアの開発・販売する会社としてスタートし、スポーツ界にたずさわって12年が経つところです。そして、企業理念は『スポーツを通じて日本の未来を元気にする』ことです。私の中で何か新しいことにチャレンジする時には、必ずその言葉が心の中にあり、それに基づいて行動をしています。私たちはこれまでバスケットボールチームウエア製作に特化して学校やクラブに提供してきました。現在は約40,000チームに会員登録をしていただいております。この12年の間に、弊社はチームのみなさまと共に商品をより良いものに作り上げ成長をしてきました。ただ、バスケットボールのブランドではありながら、他のスポーツチームの方々からもお声掛けをいただき、私たちの商品をご利用いただく中で様々なスポーツを学ぶ機会に恵まれました。

そして、川淵三郎さんがBリーグの設立に尽力されたように、私たちも枠にとらわれず、企業として成長できればと考えていました。私は熊谷市に住んでいるのですが、地元には『めぬまカップ』という25年続いている高校生(ユース)年代の女子サッカーの全国大会があるんです。去年、サッカーブランド『XF(エグゼフ)』を立ち上げる際に真っ先に思い出したのが、この大会でした。そこで、多方面からいただいたご縁から大会関係者の方々とお会いできることになり、親睦を深めさせていただく中で『地元の熊谷で行われている、めぬまカップをぜひ応援したい』と私の思いをお伝えした結果、『XF(エグゼフ)』として初めてサッカー大会の特別協賛をさせていただけることになりました。

そうして迎えた今年のめぬまカップでは、選手と指導者が全国から1,000人規模で集まり、先生、スポンサー、行政の方々が共に協力し合って運営されていることを間近で知ることができました。歴史ある大会を通じて、女子サッカーが根づいている文化を垣間見ました。そこからさらに様々なサッカー関係者の方々とつながるなか、日本クラブユースサッカー連盟の女子委員会の方々とお会いする機会があり、7月に女子U-18の全国大会を開催することをお聞きしたんです」

 

――そういう経緯があったわけですね。実際に、25年続く「めぬまカップ」を目にされてどう思われましたか?

早川社長

「市と共に半年かけて準備をされていました。大会には25年もの間関わっていらっしゃる先生もいて、すごく地域性に溢れていました。大会自体はもちろん選手のためにあるものですが、準備の様子を見ていると『まわりの方々の協力なしには大会を開催できない』ことを痛感させられました。例えば、宿泊施設を準備するだけでも大変な労力を要するんです。つまり、試合以外のところを含め、25年もの間歴史を積み重ね、地域のつながりを大事に大会運営してきたからこそ成立しているんだと感じました。出場チームはほぼ毎年のように参加するそうなのですが、指導者同士の絆も強いんです。『女子選手のために何ができるか』を第一に協力していました。

『女子サッカーが盛り上がることをしよう』。

そんなプレイヤーズ・ファーストの思いが選手に伝わり、本当にいい試合が多いんです。また、私たちの心に残ったのは、最終日に行われる『選手選抜×教師選抜』によるエキシビジョンマッチでした。こういう一体感が、やはり毎年行きたいと思う大会を築いていたり、この大会を通して1~3年生の絆が深まったりと、一つの文化を成り立たせているんだな、と。この文化を大切にしたいという思いを感じられたことで、一スポーツブランドとして『大会に寄り添い、文化の継承の役に立てたらいいな』とあらためて決意を固められました」

 

――『選手×教師』のエキシビジョンマッチからも大会をみなさんで盛り上げていることがわかります。その地域では、女子サッカーが文化として根づいているんですね。

早川社長

「この大会を支援され続けたみなさまの思いは、地域のためであったり、次世代を担う選手のために女子サッカー文化を育むことであったりすると思うんです。そこは『XF(エグゼフ)』の由来ともなっている『●●×Football』という部分と似ています。25年も前からやられている大会に、私たちも関わらせていただいたからこそ深く理解できたことや見えてきたものがありました」

 

 

メインスポンサーとして「XF CUP」にかける思い

 

――特に男子と少し環境に違いがあり、女子ならではの強い絆があるように思います。やはり競技人口が少なく、男子のように簡単に大会が開けたり、出場クラブを集められたりができない現状がありますから。だからというわけではないのですが、女子クラブ、女子部ならでは結束力があるのかな、と感じます。7月30日(火)〜8月5日(月)に開催される「XF CUP 2019」は、今後きっと女子選手に目標を与える存在になります。率直に、メインスポンサーとしてどのような思いを持っていらっしゃいますか?

早川社長

「私も学生時代はテニスをしていました。その経験でいうと“今”楽しい、がんばりたい、うまくなりたいと思って活動できていること自体がすばらしいことです。そういう風に自分を肯定して努力できていれば、また次のステージに立った時に必ず役立つものになると思うんです。まさに今大会に出場している選手のみなさんは、次世代を担う主役なわけです。

今後どういう道をたどるにしても、今夢中に行動していることが未来につながっていきます。なので、とにかく今を楽しんでプレーしてもらいたいというのが私の思いです。時には自分を見つめて、もっとこうしたいと積み重ねていく姿が、結果として後輩であるU-15年代の選手たちの鏡となるでしょうし、そのためにも私たち関係者がより良い大会にしなければいけないと思います」

 

――今大会はU-18が対象です。選手たちは数年経てば、一人の社会人になります。彼女たちを将来の社会の人材として捉えた場合、どのようにしたら『スポーツ経験を生かせる』と思いますか?

早川社長

「スポーツ経験のない方も、スポーツに携わっている方とは違う経験をされているので一概には言えませんが、スポーツをしている方は心というか、意思とか、共感力とか、感じる力があると私自身は思っています。だから、スポーツに育ててもらったという思いを大切に、例えばスポーツ業界に入ったとするならば、価値観が近い人たちと仕事ができるのでより良い成果が出せるのではないかな、と。今、社会ではネガティブな話題を耳にすることがあります。子どもを産んだ女性は社会復帰しにくいとか、会社復帰ではなく転職することになったとか…」

 

――いろいろな課題があります。

早川社長

「弊社は半分が女性社員ですが、子どもを産んだ社員の多くは職場復帰しています。『この会社で働きたい』『この会社でこういうキャリアを積みたい』と思ってもらえる企業でありたいと常に努力をしています。また、スポーツウェアを製作する上で、女性社員の存在は欠かせない存在にもなっています。女子チームウエアの開発につながるご意見の収集にうかがう際、女性社員が訪問することによって、男性では聞き出せない女性同士だからこそ共感できる意見をたくさん出して下さったこともありました。そういった経験を生かし、今回『XF CUP 2019』の会場ブースでは女性スタッフで選手の対応をしようと準備を進めています」

 

――それは選手たちも安心するでしょうね。そろそろお時間が迫ってきましたので、招待チームであるアメリカの『San Jose Earthquakes』との話題にも触れたいと思います。サードユニホームがエグゼフ・ブランドだとお聞きしました。デザインなどはどうされたんですか?

早川社長

「今年が第1回大会としてアメリカから招待チームを迎え入れるにあたり、まず『いい思い出を作って帰ってもらいたい』と考えました。そして、見ている観客の方々が『かっこいい』と思ってもらえるようなデザインをお見せしたいと思いました。細かい部分にもこだわり、チーム設立の年号を入れたりしました。『San Jose Earthquakes』の選手やコーチングスタッフが“おもてなし”として感じてくれたらいいですし、一人の経営者として人の心を揺さぶるブランドでありたいなと思っています」

 

――では、最後に今大会に出場する選手たちにメッセージをお願いします。

早川社長

「今大会は、これまで努力してきた集大成の一つになると思います。仲間と共に喜んで、時に悔しがって、すべてを楽しんで欲しいですし、今を輝くために一所懸命にプレーして欲しいと応援しています。それがまわりの人たちのエネルギーに変わりますし、次の世代の選手へと思いや願いとしてつながっていくはずだから。とにかく夢中で“今”を楽しんで欲しいと願っています」

 

 

※スポーツ振興くじ助成対象事業です。